カテゴリー:青空文庫

  • 谷崎 潤一郎:蓼喰う虫

    2019-07-24公開  入力:kompass, 校正:しんじ  (113k/324k)  “その一 美佐子は今朝からときどき夫に「どうなさる? やっぱりいらっしゃる?」ときいてみるのだが、夫は例の孰方つかずなあいまいな返辞をするばかりだし、彼女自身もそれならどうと云う心持もきまらないので、ついぐずぐずと昼過ぎになってしまった。一時ごろに彼女は先へ風呂に這入って、どっちになってもいいように身支度だけはしておいてから、まだ寝ころんで新聞を読んでいる夫のそばへ「さあ」と云うように据わってみたけれ……
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  • 佐藤 春夫:個人的な余りに個人的な饒舌 =龍之介対潤一郎の小説論争=

    2019-07-24公開  入力:焼野, 校正:きりんの手紙  (10k/22k)  “一 白鳥先生のあとを承けてこの稿を草するのはわが光栄とするところである。 だが文学史的に回顧するとすれば、逍遙対鴎外、透谷対愛山の論争につづくべきものは大町桂月対新詩社の「君死に給ふこと勿れ」に関する論争を取上げるのが至当であり、それにつづいては更に自然主義時代の諸論客中に然るべき論争もあるのを無視して一足飛びに初頭とは云へ大正ならぬ昭和時代の龍之介対潤一郎の小説論の争ひでは、少々年代が飛び過ぎるし…”…
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  • 萩原 朔太郎:芥川君との交際について

    2019-07-24公開  入力:きりんの手紙, 校正:ニオブ  (3k/7k)  “芥川君と僕との交際は、死前わづか二三年位であつたが、質的には可なり深いところまで突つ込んだ交際だつた。「君と早く、もつと前から知り合ひになればよかつた。」と、芥川君も度々言つた。僕の方でも、同じやうな感想を抱いて居たので、突然自殺の報告に接した時は、裏切られたやうな怒と寂しさを感じた。 芥川君の性格には、一面社交的の素質があつたので、友人が非常に多かつた。しかし本當の打ちとけた親友といふものは、意外…”…
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  • 幸田 露伴:貧富幸不幸

    2019-07-23公開  入力:門田裕志, 校正:noriko saito  (8k/20k)  “もしそれ真の意味に於て言を為せば、貧と富とは幸福と不幸福とに対して相即くところは無い。貧でも幸福であり得、また不幸福であり得、富でも不幸福で有り得、また幸福で有り得るからで有る。しかし世上普通の立場に於て言を為せば、貧ということは不幸福を意味し、富ということは幸福を意味することになって、貧富は幸不幸に相即くものとなって居る。貧は不自由と少能力との体であり、富は自由と多能力との体であるからであり、また…
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  • 中谷 宇吉郎:露伴先生と科学

    2019-07-23公開  入力:砂場清隆, 校正:岡村和彦  (9k/18k)  “私は露伴先生のものは少ししか読んでいないし、お目にかかったのも、三、四回くらいのものである。それで先生についてはあまり書く資格もなく、また材料も持ち合わせていない。しかし露伴先生のことは小林勇君を通じて、この近年よくきいていたし、上京して武見国手に会うごとに、先生の容態のことが一度は話題に上ったので、晩年の先生の風貌に親しい接触があったような錯覚に陥ることもあった。そういう機縁で、この小文を書きかけ…”…
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  • 森 律子:三度会った巡査

    2019-07-22公開  入力:sogo, 校正:The Creative CAT  (4k/7k)  “お話もずつと古くなりますと、かえつて新しく聞かれるものとよく申しますが、これはわたしのうら若い大正二年の春、欧州劇壇視察の目的で渡欧致しました時のことでございます。 出立に当つては各方面からの御紹介状も沢山頂き、また彼の地では大使館、領事館のお世話になり、万事工合よく引回されて、何事もなく過したような顏をして、帰国後はすつかり取りすましておりました。しかし、実は性来粗忽者のわたくしが、しかも言…
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  • 山本 周五郎:日本婦道記 笄堀

    2019-07-21公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井和郎  (13k/31k)  “一 さかまき靱負之助は息をはずませていた、顔には血のけがなかった、おそらくは櫛をいれるいとまもなかったのであろう、乱れかかる鬢の白毛は燭台の光をうけて、銀色にきらきらとふるえていた。――ああ靱負はうろたえている。真名女はそう思った。そしてそう思ったときに、自分のやくめがどんなに重大であるかということを悟った。 「この事を誰が知っていますか」 「まだわたくしだけでござります」 「使の者はどうしまし…
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  • 田山 花袋/田山 録弥:波の音

    2019-07-20公開  入力:tatsuki, 校正:津村田悟  (6k/16k)  “一 『何うもあれは変だね?』かう大学生の小畠はそこに入つて来た旅舎の中年の女中に言つた。それは広い海に面した室で、長い縁側と、スロオプになつてゐる広場とを隔てゝ、向うに波の白く凄じく岩に当つて砕けてゐるのを目にするやうなところであつた。 『え?』 頷で客の指す方に眼を遣りながら女中は訊いた。 『あの女さ?』 『あ、あの岩の上の? 本当ね? 何うかしてるのね?』女中もぢつと其方の方を見た。 岸に近く、…”…
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  • 田山 花袋/田山 録弥:現実

    2019-07-20公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:きゅうり  (1k/3k)  “お互に粗い感情や粗い理窟で喧嘩したり議論したりしても仕方がない。現實は複雜で、細微で、機能的で、いつも深い心理がついて廻つて居る。  底本:「定本 花袋全集 第十五巻」臨川書店 1994(平成6)年6月10日復刻版発行 底本の親本:「定本 花袋全集 第十五巻」内外書籍 1937(昭和12)年1月18日初版発行 入力:特定非営利活動法人はるかぜ 校正:きゅうり 2019年6月28日作成 青空文庫作成フ…
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  • 梅崎 春生:腹のへった話

    2019-07-19公開  入力:砂場清隆, 校正:芝裕久  (3k/6k)  “申すまでもなく、食物をうまく食うには、腹をすかして食うのが一番である。満腹時には何を食べてもうまくない。 今私の記憶のなかで、あんなにうまい弁当を食ったことがない、という弁当の話を書こうと思う。弁当と言っても、重箱入りの上等弁当でなく、ごくお粗末な田舎駅の汽車弁当である。 中学校二年の夏休み、私は台湾に遊びに行った。花蓮港に私の伯父がいて、私を招いてくれたのである。うまい汽車弁当とは、その帰路の話だ…”…
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