カテゴリー:青空文庫

  • 永井 荷風:佛蘭西人の観たる鴎外先生

    2019-01-19公開  入力:菜夏, 校正:きりんの手紙  (4k/7k)  “佛蘭西人アルベール・メーボン著今日の日本と云ふ書に著者が鴎外先生を上野博物館に訪問したる記事あり。大意左の如し。 (メーボン氏は千九百三十九年中巴里に歿すと云) 森氏は一千八百六十年に生れたり。陸軍の醫官たりとの一事は直に氏が教養の全く獨逸風なることを知らしむるに足るべし。(略)その作舞姫は小説家として氏の名を顯著ならしめたり。年わかき獨逸の女が日本の戀人の修練せられしマリボオ風ともいふべき態度言語…”…
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  • 佐藤 春夫:思い出

    2019-01-19公開  入力:えんどう豆, 校正:津村田悟  (2k/4k)  “二十代の時鴎外先生には五、六回お目にかかった。その後二、三度陸軍省の医務局に校正を届けた際お目にかゝったが、いずれも簡単で、懐旧談を語るほどの資料はもっていない。 そのころ、与謝野寛、生田長江、永井荷風氏らが鴎外先生の門人で、私は先生の孫のようなものだった。そうした縁故で私は先生と直接の関係はないが、先生の文学的事業から尊敬している。先生は世間から気むずかし屋と思われることを苦にして、いつも相手に窮…”…
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  • 折口 信夫:戞々たり 車上の優人

    2019-01-18公開  入力:門田裕志, 校正:酒井和郎  (17k/35k)  “まことに、人間の遭遇ほど、味なものはない。先代片岡仁左衛門を思ふ毎に、その感を深くする。淡々しい記憶が、年を経て愈濃やかにして快く、更に何か、清い悲しみに似たものを、まじへて来るやうな気がしてゐる。 役者なんぞに行き逢うて、あんな心はずみを覚えたと言ふことは、今におき、私にとつては、不思議に思はれる程である。年から謂つても、十四五―六の間、純と言へば純、だが上ついたと言へば、又少年らしくない、うは/…”…
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  • 野村 胡堂:銭形平次捕物控 076 竹光の殺人

    2019-01-17公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:結城宏  (14k/40k)  “一 「平次、狸穴まで行ってみないか、竹光で武家が一人殺されたんだが――」 与力笹野新三郎は、ちょうど八丁堀組屋敷に来合せた、銭形平次を誘いました。 「旦那が御出役で?」 「そうだよ。浪人者には違いないが、土地では評判の良い人物だ。放ってもおけまい」 八丁堀の与力が出役するのは、余程の大捕物で、いずれは殺された武家の旧藩関係に、厄介なことでもあるのでしょう。 「お供いたします。ちょうど、八五郎も参っ…
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  • 葛西 善蔵:雪をんな(二)

    2019-01-16公開  入力:林田清明, 校正:フクポー  (5k/10k)  “―― その時からまた、又の七年目が※り來ようとしてゐる。私には最早、歸るべき家も妻も子もないのである。さうして私は尚この上に永久に、この寒い雪の多い北國の島國を、當もなく涯から涯へと彷徨ひ歩かねばならぬのであつた。…… ―― その最初の結婚とは二十年經つてゐる。前に引いた文章にもあるやうに、この前の「雪をんな」は十九で結婚しての七年目だから二十七の歳だつたらしい。その時分から私の生活が始まつたと云ふ…”…
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  • 葛西 善蔵:雪をんな

    2019-01-16公開  入力:林田清明, 校正:フクポー  (5k/11k)  “一 『では誰か、雪をんなをほんとに見た者はあるか?』 いゝや、誰もない。しかし、 『私とこの父さんは、山からの歸りに、橋向うの松原でたしかに見た。』 『そんなら私とこの祖父さんなんか、幾度も/\見てる。』 『いや私とこのお祖母さんは、この間の晩どこそこのお産へ行つた歸り、どこんとこの屋敷の前で、雪をんなが斯う……赤んぼを抱いて、細い聲して云つてたのを確かに聽いた。これつぱかしも嘘ではない。』 斯う私…”…
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  • 末吉 安持:この日

    2019-01-15公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/3k)  “君うつくしく幸ありと、 おもへば魂はくづるゝに、 なまじい罪は負ひつゝも、 君は死にきと眼を閉ぢて、 痩せたる胸を撫づるなり。 もとより心いつはらぬ ふたりが恋のくちつけは、 法の父上母うへの 御国にゆりぬ、君はいま むくろぞひとに委ねけめ。 されども君は人妻と、 整ひきよき妻がさね、 われ咽喉ぶえは裂きもすれ、 沸ぎる鉛は啣むとも、 えやは呼ぶべきわがつまと。  底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※…”…
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  • 末吉 安持:かさぬ宿

    2019-01-15公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/4k)  “五里の青野に行き暮れて、 山下街の片門に、 いかで一夜の宿乞ふと 都のなまり、――うらわかき 学生づれの七人は 手にこそしたれ、百合の花。 家の下部が、老い屈み、 嗄れごゑに、竹箒 とる手とどめて物いへば、 二室へだてし簾障子の 奥に乳母よぶ――こは人の 百合の花なる白き影。 親なき君をいつく家の あなあやにくと、しとやかに 乳母はいなみぬ。よし、さらば、 そのあえかなる君祝ひ 捧ぐと與へ行き過ぎぬ…”…
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  • 末吉 安持:友に

    2019-01-15公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/9k)  “友よ恨まじ今日よりは ねたまじ、君は濃藍の 底見えわかぬわたづみの 珊瑚の宮に恋を得て 幸くあり、とに思ひ止まむ。 濃藍たゞえて見えわかぬ わたづみ底の恋なれば 誰が子誰が子の手をとりて 口つけかはし笑みかはし ありともいかで名を知らむ。 恋を恋はれぬ嫉妬もて、 相合ふ魂を咀ふとも、 三月尽の百蓮華 得やは枯さむあたゝかき 蕾ふくめる緋牡丹を。 寄藻の花も匂はざる。 荒磯の辺り、夏の日に 照り晒らさ…”…
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  • 小山 清:朴歯の下駄

    2019-01-14公開  入力:kompass, 校正:酒井裕二  (10k/24k)  “むかしの話だ。 私がそのみせの前を通ったとき、そこの番頭さんが、 「よう、前田山。」 と私のことを呼びかけた。その頃私は廓を歩くと、いつも「応援団長」とか「朴歯の旦那」とか呼ばれた。私は久留米絣の袷を着て、袴をはいて、そうして朴歯の下駄をガラガラ引き摺って歩いていたのである。私にはそのほかにどんなよそゆきの持ち合せもなかったのだ。「前田山」は頬をほてらせてみせの中へ入っていった。私はもう上気していて…”…
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