カテゴリー:青空文庫

  • 坂口 安吾:家康

    2017-10-20公開  入力:日根敏晶, 校正:まつもこ  (14k/33k)  “徳川家康は狸オヤジと相場がきまっている。関ヶ原から大坂の陣まで豊臣家を亡すための小細工、嫁をいじめる姑婆アもよくよく不埓な大狸でないとかほど見えすいた無理難題の言いがかりはつけないもので、神君だの権現様だの東照公だのと言いはやす裏側で民衆の口は狸オヤジという。手口が狸婆アの親類筋であるからで、民衆のこういう勘はたしかなものだ。 けれども家康が三河生来の狸かというと、そうは言えない。晩年の家康は誰の目…”…
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  • 坂口 安吾:小さな部屋

    2017-10-20公開  入力:日根敏晶, 校正:まつもこ  (18k/53k)  “「扨て一人の男が浜で死んだ。ところで同じ時刻には一人の男が街角を曲っていた」―― という、これに似通った流行唄の文句があるのだが、韮山痴川は、白昼現にあの街角この街角を曲っているに相違ない薄気味の悪い奴を時々考えてみると厭な気がした。自分も街角を曲る奴にならねばならんと思った。 韮山痴川は一種のディレッタントであった。顔も胴体ももくもく脹らんでいて、一見土左衛門を彷彿させた。近頃は相変らず丸々とむく…”…
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  • 野村 胡堂:銭形平次捕物控 095 南蛮仏

    2017-10-19公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:結城宏  (19k/59k)  “一 屑屋の周助が殺されました。 佐久間町の裏、ゴミ溜めのような棟割長屋の奥で、魚のように切られて死んでいるのを、翌る朝になってから、隣に住んでいる、蝮の銅六という緡売りの、いかさま博奕を渡世のようにしている男が見付け、町内の大騒動になったのです。 周助はもう六十に手の届いた男、鉄砲笊を担いで江戸中を廻り、古着、ガラクタ、紙屑までも買って歩いて、それを問屋に持込み、わずかばかりの口銭を取って、その日…
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  • 鈴木 大拙:鹿山庵居

    2017-10-18公開  入力:酒井和郎, 校正:岡村和彦  (8k/17k)  “人の心と云うものは本来縛らねばならぬように出来ておるのかどうかは知らぬけれども、吾等は何かかんか云うてこの心を繋ぎ、この身を苦しめておる。何もない処にぽかんとしておることが出来ぬ。もしそんなことでも有ると、自分で屹度何か手頃の束縛を造り出す。蜘蛛が巣を作り、蚕が繭を作ると全く一般である。何かと云うと、平等であるとか、一視同仁であるとか云う人間が、社会なるものを造ると、此処に貴族と云うもの、平民と云う…”…
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  • 小川 未明:正二くんの時計

    2017-10-17公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井裕二  (4k/28k)  “正二くんは時計がほしかったので、これまでいくたびもお父さんや、お母さんに、買ってくださいと頼んだけれども、そのたびに、 「中学へ上がるときに買ってあげます。いまのうちはいりません。」というご返事でした。 戦争がはじまってから、時計は、もう外国からこなくなれば、国内でも造らなくなったという話を聞くと、正二くんは、 「売っているうちに、早く買ってもらいたいものだ。」と思ったのです。それで、お父さんに向…
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  • 小川 未明:武ちゃんと昔話

    2017-10-17公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井裕二  (4k/23k)  “この夏休みに、武ちゃんが、叔父さんの村へいったときのことであります。 ある日、村はずれまで散歩すると、そこに大きな屋敷があって、お城かなどのように、土塀がめぐらしてありました。そして、雨風にさらされて古くなった門が、しめきったままになって、内には、人が住んでいるとは思われませんでした。 「どうしたんだろうか。」と、武ちゃんは、不思議に思いました。門のすきまからのぞくと、家のほかに土蔵もあったけれど…
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  • 野村 胡堂:銭形平次捕物控 094 死相の女

    2017-10-16公開  入力:山口瑠美, 校正:結城宏  (15k/44k)  “一 「親分、お早う」 ガラッ八の八五郎は、顎をしゃくってニヤリとしました。 「何がお早うだい、先刻上野の午刻(十二時)が鳴ったぜ、冗談じゃない」 銭形の平次は相変らず、狭い庭に降りて、貧弱な植木の世話に没頭しておりました。 「親分の前だが、今日は嬉しくてたまらねえことがあるんだ」 「それで朝寝をしたというのかい、呆れた野郎だ、昨夜どこかで化かされて来やがったろう」 「へッ、そんな気障なんじゃありませ…”…
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  • 岡本 綺堂:影を踏まれた女

    2017-10-15公開  入力:江村秀之, 校正:岡村和彦  (12k/32k)  “一 Y君は語る。 先刻も十三夜のお話が出たが、わたしも十三夜に縁のある不思議な話を知っている。それは影を踏まれたということである。 影を踏むという子供遊びは今は流行らない。今どきの子供はそんな詰まらない遊びをしないのである。月のよい夜ならばいつでも好さそうなものであるが、これは秋の夜にかぎられているようであった。秋の月があざやかに冴え渡って、地に敷く夜露が白く光っている宵々に、町の子供たちは往来に出…”…
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  • ミルン アラン・アレクザンダー:ぼくら ふたり

    2017-10-14公開  入力:大久保ゆう, 翻訳:大久保 ゆう  (2k/6k)  “どこにいたって プーもいる いつだって プーとぼく なにしたって まねしたがる 「今日はどこ行く?」って プー 「おもしろいとこだよ まかせてよ いっしょに行こう」って 言うんだよ 「いっしょに行こう」って プーのやつ 「2×11は?」って プーにきく (「2×なに?」って かえすプー) 「たぶん22に なるはず」 「そうじゃないかと 思ったよ」って プー 「かけ算って そう やさしくないけどさ そ…”…
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  • 江戸川 乱歩:サーカスの怪人

    2017-10-13公開  入力:sogo, 校正:茅宮君子  (55k/167k)  “骸骨紳士 ある夕がた、少年探偵団の名コンビ井上一郎君とノロちゃんとが、世田谷区のさびしいやしきまちを歩いていました。きょうは井上君のほうが、ノロちゃんのおうちへ遊びにいったので、ノロちゃんが井上君を送っていくところです。 ノロちゃんというのは、野呂一平君のあだなです。ノロちゃんは団員のうちでいちばん、おくびょうものですが、ちゃめで、あいきょうもので、みんなにすかれています。 井上一郎君は、団員のうち…”…
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