カテゴリー:青空文庫

  • 森川 義信:雨の出発

    2018-06-16公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (1k/3k)  “背中の寒暖計に泪がたまる 影もないドアをすぎて 古びた時間はまだ叩いてゐる あれは樹液の言葉でもない 背中の川を声だけで帰つてゆくものたち  底本:「増補 森川義信詩集」国文社 1991(平成3)年1月10日初版発行 初出:「荒地 2集」 1939(昭和14)年5月 ※初出時の署名は「山川章」です。 入力:坂本真一 校正:フクポー 2018年5月27日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、イ…”…
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  • 江戸川 乱歩:魔法人形

    2018-06-15公開  入力:sogo, 校正:大久保ゆう  (53k/159k)  “腹話術 小学校六年生の宮本ミドリちゃんと、五年生の甲野ルミちゃんとが、学校の帰りに手をひきあって、赤坂見附の近くの公園にはいっていきました。その公園は、学校とふたりの家とのまん中ほどにある、千平方メートルぐらいの小さな公園で、みどりの林にかこまれ、三分の二は芝生、三分の一は砂場になっていて、砂場のほうには、ぶらんこやすべり台、芝生のまわりには、屋根のあるやすみ場所や、ベンチなどがあります。 いつもは…”…
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  • 野村 胡堂:銭形平次捕物控 031 濡れた千両箱

    2018-06-14公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:北川松生  (19k/58k)  “一 深川の材木問屋春木屋の主人治兵衛が、死んだ女房の追善に、檀那寺なる谷中の清養寺の本堂を修理し、その費用三千両を釣台に載せて、木場から谷中まで送ることになりました。 三千両の小判は三つの千両箱に詰められ、主人治兵衛の手で封印を施し、番頭の源助と鳶頭の辰蔵が宰領で、手代りの人足ども総勢六人、柳橋に掛ったのはちょうど昼時分でした。 「悪い雲が出て来たね、鳶頭、この辺で夕立に降り込められるより、一と…
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  • 佐藤 春夫:尊重すべき困つた代物 ――太宰治に就て――

    2018-06-13公開  入力:えんどう豆, 校正:夏生ぐみ  (3k/5k)  “「青い花」に出てゐた一見童話風の、しかしその内部には近代人の自己分裂と精神薄弱の自己反省を伴つた現実感を、風の如く、さりげなくしみじみと漂はせて骨格の卑しくないもののあるのを発見したのは一年も前の事であつたらう。題名は今思ひ出せないが、その作者が太宰治であることだけは強く印象に残つた。同じ作者の名を文芸で見て、早速一読すると、これは先日のものが毛糸を解きほぐしたやうな文体であつたのに対して金属的な感…”…
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  • 大石 喜幸:嵐の中で ――伊井千歳に贈る――

    2018-06-12公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/4k)  “嵐は今日も街々をかけずりまわっている 君は一度でもこの嵐の原因について 考えたことがあるんですか それよりも もっと もっと 大きい嵐について もっと現実的な 人と人とのつながりにおいて 人間個々において 人類全体において 水平線的な 風雨の原因について―― 嵐の日の何もできない一日を じっと反省の思惟にふけるがいい 君はきっと 希望の駿馬にまたがり 倫理の手綱をにぎることができるのだ 君はそのつぶ…”…
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  • 三好 達治:扁舟

    2018-06-11公開  入力:kompass, 校正:大久保 知美  (1k/3k)  “扁舟を湖心に泛べ 手 艪を放ち 箕坐して しばしもの思ふ―― 願くば かくてあれかし わが詩の境  底本:「三好達治全集第一卷」筑摩書房 1964(昭和39)年10月15日発行 底本の親本:「定本三好達治全詩集」筑摩書房 1962(昭和37)年3月30日 初出:「改造 一八卷一號」 1935(昭和10)年1月 入力:kompass 校正:大久保 知美 2018年5月27日作成 青空文庫作成ファイル:…”…
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  • 三好 達治:かいつぶり

    2018-06-11公開  入力:kompass, 校正:大久保 知美  (1k/3k)  “かいつぶり かいつぶり そうれ頭に火がついた 私たちの歌に應へて かいつぶりは水に沈む それは旱魃の夏だつた ただそれだけのことだつた かいつぶり かいつぶり かいつぶりのゐない日もあつた  底本:「三好達治全集第一卷」筑摩書房 1964(昭和39)年10月15日発行 底本の親本:「定本三好達治全詩集」筑摩書房 1962(昭和37)年3月30日 初出:「文學界 三卷五號」 1936(昭和11)年5月…”…
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  • 大町 桂月:近藤重蔵の富士山

    2018-06-10公開  入力:H.YAM, 校正:雪森  (4k/8k)  “這へば立て、立てば歩めと育つる子の、歩きても、『おんぶ』せざるやうになるまでの年月は、短しとせず。四郎もこの頃は漸く『おんぶ』を口にせざるやうになりぬ。さあ來い、運動につれていつてやらうと云へば、『飛び/\』をして喜ぶ。桃葉も倶にす。途に東行を誘へり。 大※驛さして行く。市區改正は郡部にも及びて、路幅は倍以上にならむとし、兩側の家みな新たにならむとす。肴屋には秋刀魚重なり合ひ、八百屋には、唐菜、三河…”…
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  • 大町 桂月:白河の関

    2018-06-10公開  入力:H.YAM, 校正:雪森  (4k/8k)  “思へば夢に似たる哉。われ十九歳の時、仙臺なる叔父を訪はむとて、東京より徒歩したることありき。音に聞きつる白河の關の跡は白河にあるものと思ひしに、白河に至りて、始めて南方三里の外にあることを知りぬ。さらばとて南湖を經て訪ねゆく。岐路あれども、問ふに家なく、人なし。時は午を過ぎて、空腹に堪へず。漸くにして一壯漢の來たるに逢ふ。髯鬚長く垂れて、眼光人を射る。やれ嬉しやと路を問へば、『棚倉街道なり、古關の蹟…”…
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  • 小川 未明:兄の声

    2018-06-09公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井裕二  (7k/37k)  “おかあさんは、ぼくに向かって、よくこういわれました。 「小さいときから、おまえのほうは、気が強かったけれど、にいさんはおとなしかった。まだおまえが、やっとあるける時分のこと、ものさしで、にいさんの頭をたたいたので、わたしがしかると、いいよ、武ちゃんは、小さいのだものといって、にいさんは、おこりはしなかった。ほんとうに、がまん強い子でした。」 ぼくは、そうきくと、物心のつかない幼時のことだけれど、な…
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