カテゴリー:青空文庫

  • 山本 周五郎:青べか物語

    2018-08-16公開  入力:富田晶子, 校正:Juki/栗原もなこ  (155k/493k)  “はじめに 浦粕町は根戸川のもっとも下流にある漁師町で、貝と海苔と釣場とで知られていた。町はさして大きくはないが、貝の缶詰工場と、貝殻を焼いて石灰を作る工場と、冬から春にかけて無数にできる海苔干し場と、そして、魚釣りに来る客のための釣舟屋と、ごったくやといわれる小料理屋の多いのが、他の町とは違った性格をみせていた。 町は孤立していた。北は田畑、東は海、西は根戸川、そして南には「沖の百万坪」と呼ばれる…
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  • 山本 周五郎:青べか日記

    2018-08-16公開  入力:富田晶子, 校正:雪森  (39k/105k)  “しっかりしろ三十六、貴様は挫けるのか、世間の奴等に万歳を叫ばし度いのか、元気を出せ、貴様は選ばれた男だぞ、そして確りとその両の足で立上って困苦や窮乏を迎えろ、貴様にはその力があるんだぞ、忘れるな、自分を尚べ大事にしろ。そして、さあ、笑え。  二五八八年=昭和三年=二五歳(在浦安町) 今日は堀の薬師さまの縁日であった。高梨夫妻が誘いに来たので出掛けた。あの留さんも一緒だった。縁日は大変に賑やかだった、…”…
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  • 中野 鈴子:母の叫び

    2018-08-15公開  入力:津村田悟, 校正:夏生ぐみ  (2k/4k)  “行ってしまった もう煙も見えない 息子を乗せた汽車は行ってしまった 剣を抜いて待ちかまえている 耳や 手足の指がくさって落ちるという そんな寒い 戦場の×煙の中へ 息子の汽車は走って行った 生きて帰るようなことはあるまい 汽車の窓のあの泣き笑いがお あれがあの子の見おさめなのか 親一人子一人の暮らしで あの子は毎晩 わたしの夜具の裾をたたいてくれた いつもやさしい笑顔で働いてくれた ああ わたしを大…”…
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  • 伊藤 信二:冬のしぶき ――母親から獄中の息子に――

    2018-08-14公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/4k)  “お前が工場の帰りに買ってきてくれた この櫛は もう あっちこっち 歯がこぼれた 梳いたヌケ毛の一本一本は お前がオッカサンとよばってくれる その日がまためぐってくる年月のながさを ヒトツキ フタツキ と かぞえさせる お前からの夏のタヨリを 帯にはさんでいる―― 六十二にもなったわたしのふしぶしは ズキン ズキン ズキン 凍れにたたかれて ヒビがひろがってゆく お前がアバシリの 刑務所におくられてか…”…
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  • 森川 義信:幻燈 《幼な日の思ひ出のために》

    2018-08-13公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/3k)  “せるろいどのやうにふるへる むかしむかしのお姫さまよ 童話の向ふから童話のやうに掌をあげて 黒びらうどの青い喪服がよく似合ふ あれ あれ 木馬もお通りなさる がた がた 首をゆさぶり はげ落ちた灰色の眼で何を見つめるのやら みんなみんな蒼白いせるろいどの向ふよ みんなみんな幻燈の様に通りすぎた昔よ 黒びらうどのお姫さまよ はげ落ちて歩けない木馬よ 幻燈の後に残されたわたしよ 一枚の絵のないふいるむよ…”…
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  • 森川 義信:歌のない歌 《夕暮に》

    2018-08-13公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (1k/3k)  “この傾斜では お伽話はやめて こはれたオペラグラスで アラベスク風な雨をごらん ひととき鳩が白い耳を洗ふと シガーのやうに雲が降りて来て ぼくの影を踏みつけてゐる 光のレエスのシヤボンの泡のやうに 静かに古い楽器はなり止む そして………… 隕石の描く半円形のあたりで それはスパアクするカアブする 匂ひの向ふに花がこぼれる 優しい硝子罎の中では ひねくれた愛情のやうに ぼくがなくした時刻をかみしめる …”…
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  • 江戸川 乱歩:探偵少年

    2018-08-12公開  入力:sogo, 校正:大久保ゆう  (33k/97k)  “あやしい人造人間 ある夕方、千代田区の大きなやしきばかりのさびしい町を、ふたりの学生服の少年が、歩いていました。大きいほうの十四―五歳の少年は、名探偵明智小五郎の少年助手として、また、少年探偵団の団長として、よく知られている小林芳雄君でした。もうひとりの少年は、少年探偵団の団員で、小学校六年生の野呂一平君という、おどけものの、おもしろい少年です。 「なにか、すばらしい事件がおこらないかなあ。怪人二十…”…
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  • 吉川 英治:新編忠臣蔵

    2018-08-11公開  入力:結城宏, 校正:北川松生  (363k/1223k)  “浅野内匠頭 七ツちがい 春の生理をみなぎらした川筋の満潮が、石垣の蠣の一つ一つへ、ひたひたと接吻に似た音をひそめている。鉄砲洲築地の浅野家の上屋敷は、ぐるりと川に添っていた。ゆるい一風ごとに、塀の紅梅や柳をこえて、大川口の海の香は、銀襖や絵襖などの、間毎間毎まで、いっぱいに忍びこんで来る。 すぐ塀一重、外には、櫓の音が聞えるし、大廂には、海鳥の白い糞がよく落ちたりする。 『赤穂の浜も、今頃は、さだめ…”…
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  • 徳永 保之助:愚かなるものよ

    2018-08-10公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/3k)  “愚かなる。 太陽を捕え、朝の日光を、 縄をもって縛しめむとする。 風に乗り、あるはまた、 走る流れに逆らわむとする。 四季を阻みて、降る雨を止めむとする。 空気と戦う心無さよ。 ありとある力を、畢に無にせむ。 かかるに同じく、かかる業より更に愚かなる。 人の言う所を咎め、そを強いて教に適わさんとする。 定めを人の上に立て、 物言うも、そを超えしめぬ。 さなり、人の口を壅がむこと、 吹く風を捕うるより…”…
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  • 森川 義信:壁

    2018-08-09公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/3k)  “扉や窓を濡し 支柱や車輪を濡し 出ていつた音よ 仄かな調和のどこにも 響はすでに帰らない 色彩はなく 無表情の翳がうかび しづかな匂ひがひろがり 脱落するシヤツのあとには あやまちのごとく風が立つた 柱廊はひきつり 手すりはくづれ 静止した平面は 静止した曲面とともに いちぢるしく暮れた きびしく遅速をかぞへる 時差のそとに 屹立する実体もまた ひとつの影像である 壊れた通路を水がながれ 扉や支柱の…”…
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