カテゴリー:青空文庫

  • 丹沢 明:千住大橋

    2018-05-01公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/3k)  “川蒸気の発着所、旗はだらりと垂れ 大川は褐色の満水をたたえ 家々は庇をおろし、重り合う家並の彼方 瓦斯タンクは煤煙の雨空に溶ける 大川に架る錆びた鉄橋、常磐線、 貨車が長い車体を引ずってゆく 動かない煙、つながれて朽るボロ船、泛ぶ空俵 橋梁の陰に点々と黒く固まった人糞 それらの上を雨がたたいている。 江北の関門千住大橋、黒い鉄骨は川幅を跨ぎ 自転車、荷車、トラック、労働者、失業者、失業者 空気はぐし…”…
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  • 永井 荷風:榎物語

    2018-04-30公開  入力:入江幹夫, 校正:酒井裕二  (14k/53k)  “市外荏原郡世田ヶ谷町に満行寺という小さな寺がある。その寺に、今から三、四代前とやらの住職が寂滅の際に、わしが死んでも五十年たった後でなくては、この文庫は開けてはならない、と遺言したとか言伝えられた堅固な姫路革の篋があった。 大正某年の某月が丁度その五十年になったので、その時の住持は錠前を打破して篋をあけて見た。すると中には何やら細字でしたためた文書が一通収められてあって、次のようなことがかいてあった…”…
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  • 永井 荷風:雪解

    2018-04-30公開  入力:入江幹夫, 校正:酒井裕二  (18k/65k)  “兼太郎は点滴の音に目をさました。そして油じみた坊主枕から半白の頭を擡げて不思議そうにちょっと耳を澄した。 枕元に一間の出窓がある。その雨戸の割目から日の光が磨硝子の障子に幾筋も細く糸のようにさし込んでいる。兼太郎は雨だれの響は雨が降っているのではない。昨日午後から、夜も深けるに従ってますます烈しくなった吹雪が夜明と共にいつかガラリと晴れたのだという事を知った。それと共にもうかれこれ午近くだろうと思っ…”…
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  • 中原 中也:春の日の怒

    2018-04-29公開  入力:村松洋一, 校正:館野浩美  (1k/3k)  “田の中にテニスコートがありますかい? 春風です よろこびやがれ凡俗! 名詞の換言で日が暮れよう アスファルトの上は凡人がゆく 顔 顔 顔 石版刷のポスターに 木履の音は這ひ込まう  底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩※」角川書店 2001(平成13)年4月30日初版発行 ※底本のテキストは、著者自筆稿によります。 入力:村松洋一 校正:館野浩美 2018年4月25日作成 青空文庫作成ファイル: こ…”…
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  • 中原 中也:タバコとマントの恋

    2018-04-29公開  入力:村松洋一, 校正:館野浩美  (1k/3k)  “タバコとマントが恋をした その筈だ タバコとマントは同類で タバコが男でマントが女だ 或時二人が身投心中したが マントは重いが風を含み タバコは細いが軽かつたので 崖の上から海面に 到着するまでの時間が同じだつた 神様がそれをみて 全く相対界のノーマル事件だといつて 天国でビラマイタ 二人がそれをみて お互の幸福であつたことを知つた時 恋は永久に破れてしまつた。  底本:「新編中原中也全集 第二巻 …”…
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  • 中原 中也:芸術論覚え書

    2018-04-29公開  入力:村松洋一, 校正:shiro  (9k/25k)  “一、「これが手だ」と、「手」といふ名辞を口にする前に感じてゐる手、その手が深く感じられてゐればよい。 一、名辞が早く脳裡に浮ぶといふことは尠くも芸術家にとつては不幸だ。名辞が早く浮ぶといふことは、やはり「かせがねばならぬ」といふ、人間の二次的意識に属する。「かせがねばならぬ」といふ意識は芸術と永遠に交らない、つまり互ひに弾き合ふ所のことだ。 一、そんなわけから努力が直接詩人を豊富にするとは云へない。…”…
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  • 平林 彪吾:朝へ行く

    2018-04-28公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/4k)  “午前六時 私はアングルにまたがる クレーンはアングルをよこす 私はつかんでひきよせる リベットはやける 鉄と鉄をしめつける それは私の仕事だ。 思想はやける 人と人とをむすびつける それは私の仕事だ。 午後六時 私は言う 集会は言うのがたたかいだ 「異議なし」と聞く 私は誇る、 仕事は進む、 「異議あり」という 仕事は練れる 夜更け 昂奮の顔を風に冷やして帰る 夜更け 今日の思想を消化し 明日の仕事…”…
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  • 山本 周五郎:五瓣の椿

    2018-04-27公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:北川松生  (133k/410k)  “序章 天保五年正月二日に、本所の亀戸天神に近い白河端というところで、中村仏庵という奇人が病死した。年は八十四歳であった。彼は大工と畳職の棟梁であるが、書をよくし、雲介舎弥太夫と号していた。それは、箱根へ湯治にいったとき、駕籠舁から息杖を買って帰り、その杖に諸家から題詩を貰って彫りつけ柱に掛けて自慢していた。それで雲介舎などとなのったらしいが、そのまえ、本所の小梅に住んでいたとき、役者の岩井紫…
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  • 江戸川 乱歩:毒草

    2018-04-26公開  入力:金城学院大学 電子書籍制作, 校正:門田裕志  (7k/18k)  “よく晴れた秋の一日であった。仲のよい友達が訪ねて来て、一しきり話がはずんだあとで、「気持のいい天気じゃないか。どうだ、そこいらを少し歩こうか」ということになって、私とその友達とは、私の家は場末にあったので、近くの広っぱへと散歩に出掛けたことであった。 雑草の生い茂った広っぱには、昼間でも秋の虫がチロチロと鳴いていた。草の中を一尺ばかりの小川が流れていたりした。所々には小高い丘もあった。私達はとある…
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  • 江戸川 乱歩:灰神楽

    2018-04-26公開  入力:金城学院大学 電子書籍制作, 校正:門田裕志  (15k/45k)  “一 アッと思う間に、相手は、まるで泥で拵えた人形がくずれでもする様に、グナリと、前の机の上に平たくなった。顔は、鼻柱がくだけはしないかと思われる程、ペッタリと真正面に、机におしつけられていた。そして、その顔の黄色い皮膚と、机掛の青い織物との間から、椿の様に真赤な液体が、ドクドクと吹き出していた。 今の騒ぎで鉄瓶がくつがえり、大きな桐の角火鉢からは、噴火山の様に灰神楽が立昇って、それが拳銃の煙と一…
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