カテゴリー:青空文庫
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2019-02-06公開 入力:岩澤秀紀, 校正:きゅうり (1k/3k) “一、地にひれふしてあめつちに いのりしまこといれられず 日出づる國のくにたみは あやめもわかぬやみぢゆく 二、御大喪の今日の日に 流るゝ涙はてもなし きさらぎの空はるあさみ 寒風いとゞ身にはしむ 底本:「近代作家追悼文集成 第二十一巻」ゆまに書房 1992(平成4)年12月8日発行 底本の親本:「芳賀先生」國學院大学院友会 1927(昭和2)年4月20日 入力:岩澤秀紀 校正:きゅうり 2019年…”…
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2019-02-05公開 入力:入江幹夫, 校正:フクポー (2k/4k) “瀧は没落の象徴である。その没落がいかに荘厳であるかということについて説こう。 私は一日天城の峻嶺を越え、帰途、山麓の雑木林の中の細径に、しめやかな落葉のにおいを踏んで浄簾の瀧の前に立った。 冷々とした水煙を頬に感じながら、私は夕暮るる大気の中を白々といろどる瀧を眺めた。私の心は幾度びとなく瀧とともに没落した。すると、ある自暴自棄な感慨が私を圧えつけた。私は眼の前の瀧の色が、微妙な、しかも急激な速さで…”…
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2019-02-05公開 入力:朱, 校正:きりんの手紙 (2k/5k) “先日は失礼。足下の文芸時評を只今一読いたしました。長ったらしい拙作に対して一読の労を費されたことを先ず感謝します。つづいてそれに対して少々もの申すのにお耳をお傾けねがいます。 貴文の一節に「荷風の生活について新しい発見があるわけではなく、『小説』と銘を打った積極的理由もわかりませんが……」とあるお言葉ですがね。 わたくしは拙作のなかで荷風を「エディポスコンプレックスの人」としました。これはすくなくと…”…
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2019-02-05公開 入力:入江幹夫, 校正:フクポー (2k/4k) “瀧は没落の象徴である。その没落がいかに荘厳であるかということについて説こう。 私は一日天城の峻嶺を越え、帰途、山麓の雑木林の中の細径に、しめやかな落葉のにおいを踏んで浄簾の瀧の前に立った。 冷々とした水煙を頬に感じながら、私は夕暮るる大気の中を白々といろどる瀧を眺めた。私の心は幾度びとなく瀧とともに没落した。すると、ある自暴自棄な感慨が私を圧えつけた。私は眼の前の瀧の色が、微妙な、しかも急激な速さで…”…
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2019-02-04公開 入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井裕二 (5k/28k) “遠く、いなかから、出ていらした、おじいさんがめずらしいので、勇吉は、そのそばをはなれませんでした。おじいさんの着物には、北の国の生活が、しみこんでいるように感じられました。それは畑の枯れ草をぬくもらし、また町へつづく、さびしい道を照らした、太陽のにおいであると思うと、かぎりなくなつかしかったのです。 「こちらは、いつも、こんなにいいお天気なのか。」と、おじいさんは、聞かれました。 「はい、このごろ…
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2019-02-04公開 入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:館野浩美 (5k/37k) “音楽というものは、いったい悲しい感じを人々の心に与えるものです。いい楽器になればなるほど、その細かな波動が、いっそう鋭く魂に食い入るように、ますます悲しい感じをそそるのであります。そして、奏でる人が、名手になればなるほど、堪えがたい思いがされるのでした。 愉快な楽器があったら、どんなに人々がなぐさめられるであろうと、ある無名な音楽家は考えました。 その人は、どうしたら、愉快な音が出るかと、いろいろ…
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2019-02-03公開 入力:中村喜治, 翻訳:中村 喜治 (155k/476k) “自序 努力は一である。しかしこれを考察すると、自然と二種あるのが分かる。一ツは直接の努力で、他の一ツは間接の努力である。間接の努力は準備の努力で、基礎となり源泉となるものである。直接の努力は当面の努力で、事に当たって奮励努力する時のそれである。人はともすると努力が無効に終わることを訴えて嘆く。しかし、努力は効果の有り無しによって、すべきであるとかすべきでないとかを判断すべきではない。努力ということが…”…
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2019-02-02公開 入力:鈴木厚司, 校正:hitsuji (10k/22k) “1 「あなたの方の出版協会というのはいつもゴタ/\揉めているようですが、どうしたというんですか?」 こういって訊ねる人もある。しかしそういう人はどういうものかおおむね素人に限られているようである。素人に解ってもらうのは並大抵のことではないし、内容が複雑すぎるものだから、心苦しいが言葉を濁していつも逃げるよりほかなかった。ところで不思議なことに、多少とも文化とか出版とかに関心を持っていそうな人は、何と…”…
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2019-02-01公開 入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:久世名取 (7k/16k) “その時彼はちようど二人の女と差向ひにすわつてゐた。一人はその家の主婦で、一人は一流の花柳界にゐる女であつた。 そこは彼が時々息安めに行くところであつた。何の意味がある訳でもなかつた。生活の対象とか何とかいふ種類のものでは無論なかつた。緊張した愛の生活をするには、誰しもさう云ふものを欲するとほりに、彼も亦心易く友達と一緒に御飯の食べられるところが一つくらゐほしかつた。それには其処より外、知つたところ…
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2019-02-01公開 入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:えにしだ (11k/24k) “一 羊三は山を見るのが目的で、その山全体を預かつてゐる兄の淳二と一緒にこゝへ来たのだつたけれど、毎日の日課があつたり何かして、つひ鼻の先きの山の蔭から濛々と立昇つてゐる煙を日毎に見てゐながら、つい其の傍まで行つて見るのが臆劫であつた。 「山にはこちらから料理人が行つてをりますから、宅よりも御馳走がございますよ。」 嫂は家を出るとき、そんな事を言つてゐたが、その朝今は故人になつた土地の画家のかいた…
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