カテゴリー:青空文庫

  • 田山 花袋/田山 録弥:あさぢ沼

    2018-05-13公開  入力:tatsuki, 校正:津村田悟  (6k/14k)  “一 私は知つてゐる人に逢はないやうに沼の向う側を通つて行つた。なつかしい沼、蘆荻の深く生ひ茂つてゐる中に水あほひの濃く紫に咲いてゐる沼、不思議な美しい羽色をした水鳥の棲んでゐる沼、私の恋を育てゝそして滅して行つた沼――さびしい田舎の停車場を下りて、百姓家について幾曲も曲つた路を通つて、それからずつと此方へと歩いて来て、その銀色した沼の一部を眼にした時には、私は一種の顫えを心に感じて、ぢつとそこに立尽…”…
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  • 田山 花袋/田山 録弥:私の考へてゐる事

    2018-05-13公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:岡村和彦  (6k/13k)  “若い人達のためには、私は第一に勉強することを勧める。しかし勉強と言つても書くことばかりではない。読書すること、見学すること、論議すること、すべてそれを指して言つてゐるのである。若い頃にはいくらあせつても、実人生のことには容易に本当に触れ得るものではないのである。父母兄弟、叔父伯母、さういふものの中にその一部を発見するにはしても、十分にそれを理解することは出来ないものである。従つて余りに年若くて、実…
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  • 田山 花袋/田山 録弥:J. K. Huys Mans の小説

    2018-05-12公開  入力:tatsuki, 校正:岡村和彦  (7k/15k)  “一 J. K. Huys Mans あたりで、フランスの新らしい文章は一変したと言はれてゐる。文体、文章などゝ言ふものは、十年の間にはいつ変るともなく変つて行くものださうだが、実際さうだと私は思つてゐる。で、私はその意味でも Huys Mans の文章を面白いと思つてゐる。 Huys Mans の文章はゾラの系統をひいてゐる。それはその出立点が其処から出発したからである。此人も矢張ルーアンの大家の書…”…
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  • 小川 未明:世の中のために

    2018-05-11公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井裕二  (6k/38k)  “毎日雨が降りつづくと、いつになったら、晴れるだろうと、もどかしく思うことがあります。そして、もうけっして、この雨はやまずに、いつまでもいつまでも降るにちがいないと、一人できめて、曇った空を見ながら、腹立たしく感じ、あの空へ向かって、大砲でも打ってみたらと空想することがあります。 「どうした天気だろうな。」と、人の顔を見さえすればうったえるのでした。 ところが、とつぜん、雲が切れて、青い空がのぞき、…
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  • 小川 未明:僕はこれからだ

    2018-05-11公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井裕二  (12k/94k)  “村からすこし離れた、山のふもとに達吉の家はありました。彼は学校の帰りに、さびしい路をひとりで、ひらひら飛ぶ白いこちょうを追いかけたり、また、田のあぜで鳴くかえるに小石を投げつけたりして、道草をとっていたこともあります。そして、裏の松林にせみの鳴いている、我が家が近づくと急になつかしくなって、駈け出したものでした。 父親というのは、体つきのがっちりした、無口の働き者でした。今日じゅうに、これだけ耕…
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  • 泉 芳朗:生地売り

    2018-05-10公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/5k)  “ロシヤ人の生地売りは山間の一軒家に宿ってゐた 「生地 日本 ウレナイ ヨカ ヨカ」 無論誰にも面と向かって語ったのではないけれど私は只一語聞いた胸に幾回となく生地売りの言葉をくりかへした あの一晩中山間のあばら家に耳をそばだてて××の鋭い眼光もて探照してゐた憲兵でも否恐らくこの狭隘な山間に住む人皆に生地売りの哀愁はわからなかった 人々は異国人の珍奇を只むさぼり嗤った 「生地 日本 ウレナイ ヨカ ヨ…”…
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  • 岡本 かの子:五月の朝の花

    2018-05-09公開  入力:門田裕志, 校正:noriko saito  (2k/4k)  “ものものしい桜が散った。 だだっぴろく……うんと手足を空に延ばした春の桜が、しゃんら、しゃらしゃらとどこかへ飛んで行ってしまった。 空がからっと一たん明るくなった。 しんとした淋しさだ。 だが、すこし我慢してじっと、その空を仰いでいた。 じわじわと、どこの端からかその空がうるみ始めましたよ、その空が、そして、空じゅうそのうるみが拡がって。 その時、日本の五月の朝の中空には点々、点々、点々、点々。細長….
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  • 野村 胡堂:銭形平次捕物控 024 平次女難

    2018-05-08公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:結城宏  (17k/50k)  “一 「八、良い月だなア」 「何かやりましょうか、親分」 「止してくれ、手前が塩辛声を張り上げると、お月様が驚いて顔を隠す」 「おやッ、変な女が居ますぜ」 銭形の平次が、子分のガラッ八を伴れて両国橋にかかったのは亥刻(十時)過ぎ。薄ら寒いので、九月十三夜の月が中天に懸ると、橋の上にいた月見の客も大方帰って、浜町河岸までは目を遮る物もなく、ただもうコバルト色の灰を撒いたような美しい夜です。 野暮用で本…
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  • 田山 花袋/田山 録弥:レイモンドの『農民』

    2018-05-07公開  入力:tatsuki, 校正:岡村和彦  (2k/5k)  “第一に私の気に入つたのは、この作が何等の傾向も、思想も、宣伝も持つてゐないことだつた。農民小説といふ臭気すらなかつたと言つて好かつた。作者はたま/\さういふ農村の生活に浸つてゐたために、それを題材にして大きな人生を展開しただけだ。大きな人生の波の中に浮いたり沈んだりする人間を書いただけだ。そこが私の気に入つた。作者はかうでなくてはならないのだ。従つてこの作は非常に落ち付いてゐる。寧ろドツカリと腰を落…”…
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  • 佐藤 春夫:飲料のはなし

    2018-05-06公開  入力:希色, 校正:夏生ぐみ  (5k/9k)  “わたくしは老来、毎年少しづつ肥満して今はいつも十八貫以上、下着なども普通のものでは間に合はないが、こんな男一疋の体重になつたのは四十以後で、少年の頃は骨と皮ばかりの痩せつぽち、それでゐて頑健この上なし樫の木のやうなと云はれた体質で、五尺六寸に近い身長で体重は十二貫あるなしであつた。 痩せてゐたせゐか暑さは一向苦にならず、汗なども少しも流れない。今は暑気も厭はしく汗も一人前に湧くが、体の肥痩に関はらず…”…
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