カテゴリー:青空文庫

  • ルヴェル モーリス:誰?

    2019-05-25公開  入力:sogo, 校正:ノワール, 翻訳:田中 早苗  (7k/16k)  “その日、私はかなり遅くまで仕事をやった。そしてやっと書物机から眼をあけたときは、もう黄昏の仄暗さが書斎に迫ってきていた。私はそのままで数分間、じっとしていた。非常に根気をつめた仕事の後なので、頭がぼうっと疲れて、ただ機械的に四辺を見廻した。 仄かに薄れゆく光線に包まれて、あらゆるものが灰色に、不確実に見えたが、夕陽の最後の照りかえしで、卓子と、鏡面と、壁にかけた油絵だけが、明るい斑点でも置いたよ…
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  • 野村 胡堂:銭形平次捕物控 100 ガラッ八祝言

    2019-05-24公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:結城宏  (13k/37k)  “一 ガラッ八の八五郎が、その晩聟入りをすることになりました。 祝言の相手は金沢町の酒屋で、この辺では裕福の聞えのある多賀屋勘兵衛。嫁はその一粒種で、浮気っぽいが、綺麗さでは評判の高いお福という十九の娘、――これが本当の祝言だと、ガラッ八は十手捕縄を返上して、大店の聟養子に納まるところですが、残念ながらそんなうまいわけには行きません。 実際のところは、その晩聟入りの行列などを組んで歩いたら、命を奪ら…
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  • オーウェル ジョージ:絞首刑

    2019-05-23公開  入力:The Creative CAT, 翻訳:The Creative CAT   (7k/14k)  “それはビルマでのこと、雨に濡れそぼった朝だった。黄色いアルミ箔のような病んだ光が、監獄の高い壁越しに斜めに射し込んでいた。私たちは死刑囚監房の外で待機していた。小動物の檻に似て、一並びの房の前には二重の格子があった。夫々の房はおよそ二間四方で、中は本当に殺風景、板ベッドと飲み水の瓶が一つあるきりだった。房のいくつかでは、内側の格子の中に褐色をした人々が音もなく座り込…
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  • 藤村 操:巌頭の感

    2019-05-22公開  入力:かな とよみ, 校正:sogo  (1k/3k)  “悠々たる哉天壌。遼々たる哉古今。五尺の小躯を以て此大をはからむとす。ホレーショの哲学竟に何等のオーソリチーを価するものぞ。万有の真相は唯一言にして悉す。曰く「不可解」。我この恨を懐いて煩悶終に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲観は大なる楽観に一致するを。  底本:「現代日本記録全集 16 青春の記録」筑摩書房 1968(昭和43)年11月25日初版…”…
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  • 中 勘助:胆石

    2019-05-22公開  入力:呑天, 校正:noriko saito  (8k/20k)  “昭和十五年十月四日 姉の病気のため五月末から外へ出ず、もう大丈夫となってからもやはり気がかりなので余儀ない用事の場合月に二、三度、それも見舞の人に留守を頼んで出たついでに日にあたってくるぐらいが関の山だった。しかし近頃では姉もよほどよくなったし、これからすこし散歩をしようと思ってるうちに今度は自分が病気になってしまった。八月二十九日発病、胆石。そのまえからひとの原稿を見てたのが二、三日ひどく大儀にな…..
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  • 山本 周五郎:日本婦道記 尾花川

    2019-05-21公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井和郎  (11k/29k)  “一 「そういう高価なものは困りますよ、そちらの鮒を貰っておきましょう」 書庫へ本を取りにいった戻りにふとそういう妻の声をきいて、太宰は廊下の端にたちどまった。相手はいつも舟で小魚を売りに来る弥五という老漁夫らしい、「そんなことを仰しゃらないで買って下さいまし、こちらの旦那さまにあがって頂こうと思って、ほかの家の前を素通りして持って来たんですから」諄々とそういうのが聞えた。 「とにかく鮒なら貰いま…
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  • ホワイト フレッド・M:煉獄

    2019-05-20公開  入力:奥増夫, 翻訳:奥 増夫  (1627k/395k)  “主な登場人物 備考 メアリ メアリ・ダッシュウッド ジョージ卿 メアリの実父 メイフィールド メアリと結婚予定 大奥様 レディ・ダッシュウッド ラルフ ラルフ・ダーンリ 先代 ラルフの実父 先々代 ラルフの祖父 スライト 老執事 マリア 実父の最初の妻 アリス 実父の米国人妻 ペイシャンス 元・乳母 ビンセント 謎の人物 ドレイク警部 ロングタウン警察 コニー メアリの同居女 スピード夫人 ビンセン…”…
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  • 甲賀 三郎:五階の窓 04 合作の四

    2019-05-19公開  入力:雪森, 校正:富田晶子  (14k/36k)  “15 西村電機商会主西村陽吉が変死を遂げてから二日目の朝、暁方からどんよりと曇っていた空は十時ごろになると粉雪をちらちら降らしはじめた。 朝の跡片づけの手伝いをすませた瀬川艶子は、自分の部屋に定められた玄関脇の三畳に引っ込むと、机の前に崩れ坐った。彼女の涼しい目は眠られないふた晩に醜く脹れ上がり、かわいい靨の宿った豊頬はげっそりと痩せて、耳の上から崩れ落ちたひと握りの縺毛が、その尖り出た頬骨にはらり…”…
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  • 作者不詳 :大岡政談

    2019-05-18公開  入力:石塚一郎, 校正:みきた, 翻訳:尾佐竹 猛  (932k/5762k)  “解題 法學博士 尾佐竹 猛 古來名判官といへば大岡越前守にとゞめをさすが、その事蹟といへば講談物や芝居で喧傳せられて居るのに過ぎないので、眞の事蹟としては反つて傳はつて居るものは少いのである。 所謂大岡裁判なるものは、徳川時代中期の無名の大衆作家の手に成り、民衆に依つて漸次精練大成せられて、動かすべからざる根據を植付けられたのであるから、その生命は最も永いのである。我國に於ける大衆文藝とし…
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  • 平光 吾一:戦争医学の汚辱にふれて ――生体解剖事件始末記――

    2019-05-17公開  入力:sogo, 校正:The Creative CAT  (14k/29k)  “運命の電話 古傷を抉られる――という言葉がある。恰も「文学界」誌上に発表された遠藤周作氏の『海と毒薬』という小説を読んだ時、私は全く自分等の古い傷痕を抉られたような心境だった。 というのは、この小説が戦争犯罪人というレッテルと、重労働二十五年という刑罰を私に下した、所謂九大生体解剖事件(実際は相川事件という)を刻明に描写していたからである。 人間を生きたまま解剖する――平和な今日では想像も…
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