カテゴリー:青空文庫

  • 葛西 善蔵:雪をんな(二)

    2019-01-16公開  入力:林田清明, 校正:フクポー  (5k/10k)  “―― その時からまた、又の七年目が※り來ようとしてゐる。私には最早、歸るべき家も妻も子もないのである。さうして私は尚この上に永久に、この寒い雪の多い北國の島國を、當もなく涯から涯へと彷徨ひ歩かねばならぬのであつた。…… ―― その最初の結婚とは二十年經つてゐる。前に引いた文章にもあるやうに、この前の「雪をんな」は十九で結婚しての七年目だから二十七の歳だつたらしい。その時分から私の生活が始まつたと云ふ…”…
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  • 葛西 善蔵:雪をんな

    2019-01-16公開  入力:林田清明, 校正:フクポー  (5k/11k)  “一 『では誰か、雪をんなをほんとに見た者はあるか?』 いゝや、誰もない。しかし、 『私とこの父さんは、山からの歸りに、橋向うの松原でたしかに見た。』 『そんなら私とこの祖父さんなんか、幾度も/\見てる。』 『いや私とこのお祖母さんは、この間の晩どこそこのお産へ行つた歸り、どこんとこの屋敷の前で、雪をんなが斯う……赤んぼを抱いて、細い聲して云つてたのを確かに聽いた。これつぱかしも嘘ではない。』 斯う私…”…
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  • 末吉 安持:この日

    2019-01-15公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/3k)  “君うつくしく幸ありと、 おもへば魂はくづるゝに、 なまじい罪は負ひつゝも、 君は死にきと眼を閉ぢて、 痩せたる胸を撫づるなり。 もとより心いつはらぬ ふたりが恋のくちつけは、 法の父上母うへの 御国にゆりぬ、君はいま むくろぞひとに委ねけめ。 されども君は人妻と、 整ひきよき妻がさね、 われ咽喉ぶえは裂きもすれ、 沸ぎる鉛は啣むとも、 えやは呼ぶべきわがつまと。  底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※…”…
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  • 末吉 安持:かさぬ宿

    2019-01-15公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/4k)  “五里の青野に行き暮れて、 山下街の片門に、 いかで一夜の宿乞ふと 都のなまり、――うらわかき 学生づれの七人は 手にこそしたれ、百合の花。 家の下部が、老い屈み、 嗄れごゑに、竹箒 とる手とどめて物いへば、 二室へだてし簾障子の 奥に乳母よぶ――こは人の 百合の花なる白き影。 親なき君をいつく家の あなあやにくと、しとやかに 乳母はいなみぬ。よし、さらば、 そのあえかなる君祝ひ 捧ぐと與へ行き過ぎぬ…”…
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  • 末吉 安持:友に

    2019-01-15公開  入力:坂本真一, 校正:フクポー  (2k/9k)  “友よ恨まじ今日よりは ねたまじ、君は濃藍の 底見えわかぬわたづみの 珊瑚の宮に恋を得て 幸くあり、とに思ひ止まむ。 濃藍たゞえて見えわかぬ わたづみ底の恋なれば 誰が子誰が子の手をとりて 口つけかはし笑みかはし ありともいかで名を知らむ。 恋を恋はれぬ嫉妬もて、 相合ふ魂を咀ふとも、 三月尽の百蓮華 得やは枯さむあたゝかき 蕾ふくめる緋牡丹を。 寄藻の花も匂はざる。 荒磯の辺り、夏の日に 照り晒らさ…”…
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  • 小山 清:安い頭

    2019-01-14公開  入力:kompass, 校正:酒井裕二  (18k/44k)  “下谷の竜泉寺町という町の名は、直接その土地に馴染のない人にも、まんざら親しみのないものでもなかろう。浅草の観音さまにも遠くはないし、吉原遊廓は目と鼻のさきだし、お酉さまはここが本家である。若しもその人が小説好きであるならば、「たけくらべ」にゆかりのあるこの町を、懐かしくも思うであろう。だいぶまえのことであるが、一葉の記念碑がその住居の跡に建てられて、電車通りにある西徳寺で、故人を偲ぶ講演会が催された…”…
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  • 小山 清:朴歯の下駄

    2019-01-14公開  入力:kompass, 校正:酒井裕二  (10k/24k)  “むかしの話だ。 私がそのみせの前を通ったとき、そこの番頭さんが、 「よう、前田山。」 と私のことを呼びかけた。その頃私は廓を歩くと、いつも「応援団長」とか「朴歯の旦那」とか呼ばれた。私は久留米絣の袷を着て、袴をはいて、そうして朴歯の下駄をガラガラ引き摺って歩いていたのである。私にはそのほかにどんなよそゆきの持ち合せもなかったのだ。「前田山」は頬をほてらせてみせの中へ入っていった。私はもう上気していて…”…
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  • ヒューム デイヴィッド:人間本性論(人性論) 実験的研究方法を精神上の主題に導入する一つの企て

    2019-01-13公開  入力:井上基志, 翻訳:井上 基志  (194k/519k)  “凡例 「」:斜字体や大文字の強調は、「」でくくった。 []:原注・脚注は、[]でくくって本文に入れた。 ():訳者の補足を、()でくくって挿入した。 付録は、指示されている挿入個所の本文に入れた。巻末の付録には、それ以外を訳出した。   第一巻 知性について  第一編・第二編についての緒言 この著作の目的・計画は、序論で十分に明らかにされている。読者はしかし、計画した全ての主題がこの第一編・第二編だ…”…
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  • 小川 未明:花かごとたいこ

    2019-01-12公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井裕二  (3k/13k)  “ある日たけおは、おとなりのおじさんと、釣りにいきました。おじさんは、釣りの名人でした。いつも、どこかの川でたくさん魚を釣ってこられました。 たけおは、こんどぜひいっしょにつれていってくださいとおねがいしたところ、ついに、そののぞみをたっしたのでした。 電車をおりて、すこし歩くと、さびしいいなか町に出ました。 それを通りぬけてから、道は、田んぼの方へとまがるのです。この角のところに、小さな店がありま…
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  • 小川 未明:どこかで呼ぶような

    2019-01-12公開  入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:酒井裕二  (5k/25k)  “わたくしが門を出ると、ちょうど、ピイピイ、笛をならしながら、らお屋が、あちらのかどをまがりました。 わたくしは、あの音を聞くと、なんとなく、春さきの感じがします。どこへ遊びにいくという、あてもなかったので、足のむくまま原っぱへきました。知らぬまにとなりのペスが、ついてきました。どうしたのか、きょうは、だれのかげも見えませんでした。 風のない、おだやかな空は、どんよりとうるんで、足もとの枯れ草は、ふ…
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